外苑前の並木道

街の匂いと郷愁と

こんにちは、あんじゅです。

この数日は朝方に雪が舞うようになり、本格的な冬の季節を迎えたしんとした空気のなか、針葉樹の香りに包まれています。

なんて書くと、

軽井沢っぽくてステキー!

となるのかもしれませんが、冷蔵庫をちょっとでも開けると、そろそろ食べごろを迎える大根の漬物の独特の匂いが部屋中に漂うのがあんじゅ流。

どうにかうまく発酵が進んでいる気配です。

 

さて、匂いといえば、街にも匂いがあります。

軽井沢は、やはり山らしい針葉樹の香りが強いように思います。その香りに癒されに、軽井沢へといらっしゃる方も多いのかもしれません。では、軽井沢に暮らしている私はどうかというと、知らず知らずのうちにその香りに癒されていながらも、慣れてしまって気づいていないのかもしれません。

そして、むしろ東京都心の空気に癒されるあんじゅです。

軽井沢の綺麗な空気を求めていらっしゃる方には、不思議に思われるかもしれません。

さらに、驚かれるかもしれませんが、東京の空気のなかでも地下鉄の空気があんじゅにとってはなんとも心地よいものなのです。

地下鉄構内

もわんとした暖かい空気に、地下で営業する飲食店の匂いが混じり、概ねそれは甘いコーヒーの香りだったりするわけですが、妙に郷愁を誘われ、心落ち着いてしまいます。

小説の文庫本を片手に、大学からアルバイト先へ、はたまた司法試験予備校へ。そして家路へ。あるいは、夕方の街に繰り出して、深夜の終電に飛び乗ったり。やがては朝晩の通勤の場となって、幾分かの緊張感とともに思考と気力が満ちたり引いたり。

いずれにしても、地下鉄構内から地上に出れば、そこには交通頻繁な大通りの喧騒に多少の排気ガスの匂いも混じった混沌とした空気。

四谷三丁目のバス停

都心そのものが、多彩な匂いに包まれているよう。その多彩な空気は、どこからともなく漂う甘いコーヒーの香りに代表され、郷愁を誘います。癒しというのは、もしかしたらこの「郷愁」も含まれるのかもしれません。

そして、匂いと記憶は密接に結びついていることに、改めて思いが至ります。

 

軽井沢に暮らすようになってからは、首都圏の空気に海の香りの気配も感じられるようになりました。特に東京23区辺りならば十分に海に近いので、気のせいではなさそうです。

多彩な匂いを含むからか、あるいは海の潮の香りによってか、角のない丸みを帯びた空気。それが都心の空気だとすれば、軽井沢の空気は、角張った先鋭な厳しさすら感じさせる空気。

かつて江戸の頃から文化が旺盛に発展した、雑多で混沌たる東京の空気と、厳しい自然環境に「五穀生ぜず」と評された火山性の大地であり、今や清々しい高原を演出する軽井沢の空気。

そんな風に感じていますが、要するに寒いだけかもしれません。

ただ今、氷点下5.9℃の軽井沢からでした。

-軽井沢, ぶろぐ

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