こんにちは、あんじゅです。
軽井沢では紅葉の季節もとうに過ぎ、すっかり冬の装いとなりました。
軽井沢は寒冷で火山性の貧しい土地ですが、それでも所々に畑があります。冬を前にして、ほとんどの野菜の収穫は終わり、ネギや白菜のみを残した畑がひっそりと次の春を待っています。
あんじゅの暮らすログハウス@借家の前にも畑があって、夏から秋にかけて青々と茂った野菜の姿を眺めることができます。ご近所の地元の方が営む畑で、プロの農家さんではないのですが、それはそれは立派な家庭菜園。この地に越してきて以来、その畑から、折々のお野菜をいただいてはや3年。自分の暮らす土地で、日々、ともに育った野菜を口にできることは、何にもまして贅沢なことです。
同じ波動を持つのでしょうか、こうした野菜は体にとても合うように思われてなりません。
さて、1週間少々前のことでした。連休の最終日、とうとう今年の収穫のフィナーレを飾る大根たちをお届けいただきました。
土地を半々に分けて耕す親子さんから、それぞれにいただいた大根は合計11本!かつては、大根3本でも、どう料理しようかと狼狽えていた私でしたが、今や11本も何のその。まずは、ログハウスの家主さんの分を取り分けてから、泥を洗い流し、葉を落とします。数本は、保存用の袋に入れて物置へ。その袋の中には、同じ長野県に暮らす義父が、やはり立派な家庭菜園で育てた大根が、残り僅かとなって出番を待っています。軽井沢の外気の中に置いておくと凍ってしまうので、プチプチでしっかり梱包しておきました。
さて、手元の大根は、まず1本はザワークラウト風漬物に。
大根の漬物(ザワークラウト風)の作り方
- 葉は3センチほどの長さに刻み、実は皮を剥いて薄い銀杏切りにします。
- 大根(葉と実)の重量の3%程度の塩をまぶして、薄い輪切りにした唐辛子を少々加えますが、唐辛子はなくても大丈夫。
- 2をジップロックへ入れ、あらかたの空気を抜き、袋ごと容器(あんじゅは野田琺瑯のスクエア容器を使っています)に入れて、重石を乗せます。置き場所は常温でOK。
- 1日と経たないうちに、水が上がってきます。そこで、水が大根全体を覆う程度に、重石を少し減らします。
- そのまま3〜5日ほど置いてから、次は冷蔵庫でじっくりと発酵を待ちます。
- 酸味が出てきたら完成です。
ザワークラウトの作り方を大根に応用した、簡単な発酵漬物。
ちなみに、「水が上がる」という表現は、軽井沢で暮らすようになって初めて聞いた言葉です。
大根、白菜、野沢菜など、漬物にする時、まず塩に漬けるのが基本です。塩をまぶして重石をした野菜から、1日程度で水が滲み出てきます。「滲み出る」という表現では足りないほど、水が溢れ出てきます。それを、地元の方々は「水が上がる」と表現します。
1日で水が上がらない場合には、足し水をし、それでも水が上がってこない場合には、漬物はおおむね失敗だとか。水が上がるかどうかは、塩分濃度と野菜の鮮度に依存します。野菜の鮮度は、信州では大抵は問題なく、勝負は塩分濃度です。
大きな塩の袋におもむろに手を突っ込み、塩を一握り。それを大樽に詰めた野菜の上に、ぱっと一振り。まるで土俵で塩をまく関取のようで、そこに迷いはなく、手際がいい。
これは、以前暮らしてたアパートの大家さんの塩を振る手さばき。これが地元の漬物のベテランさんの漬物の塩の振り方で、あんじゅには到底真似することのできない技です。
というわけで、キッチンスケールで測れる程度の量の野菜と塩で、小さなジップロックやガラス瓶で漬けるのが「あんじゅ流」となりました。
地元の方がご覧になったら、その少なさに、
そんなん、1回分だいね!
と目を丸くして仰天されるかもしれません。
冬の間中、漬物で野菜を賄う地元の方々の食卓には、たっぷりの漬物の器が陣取るのを目にします。
かの大家さんご自慢の漬物の「初出し」の時の食卓の様子がこちらです。初出しだけに大盤振る舞いだったと思われますが、それにしても豪勢です。
こうして、軽井沢で地元の方々のお世話になる暮らしは、よその地域の多くの方がイメージする軽井沢の暮らしとはちょっと違うのかもしれません。でも、あんじゅはこんな暮らしが大好きです。いずれどこかに引っ越すことがあったとしても、こんな暮らしができるような「田舎」がいいと思う今日この頃。
さて、今、ログハウスの軒下に、大根2本を干しています。
50本は干すのが当たり前の地元の方々からは、
なんだい、2本だけかい!
と、また驚かれそうですが、この2本をまもなくたくあん漬けにしてみようと目論んでいます。が、ちょっと方針変更しそうな気もしています。
またご報告しますね。