Life tree

軽井沢ブログから「餡住実茶ぶろぐ」になりました

小説以上に語ることはできなかったブログ

軽井沢を舞台にした小説『浅間山ろく玄鳥記シリーズ1 闇夜の雪(あんやのゆき)』を今年の8月にAmazonの電子書籍ストアKindleで発売した、餡住実茶(あんじゅ・みさ)です。

この度は、「餡住実茶ぶろぐ」にお越しくださいまして、ありがとうございます。

以前、軽井沢の風土や歴史について記したブログの読者の皆様も、きっとここにいらして下さっていることと思います。結局、長くは続かなかったブログですが、それでもなお、ご声援をいただきましたこと、閉鎖を惜しんでくださいましたこと、本当にありがとうございました。

軽井沢ブログの閉鎖の後に小説『闇夜の雪』を発売し、再びブログを書き始めましたが、以前にも増してブログを書くことに行き詰まりを感じていました。

軽井沢に関する一般的なブログのほとんどが、美しい自然やアウトドアの楽しみ、あるいはレストランやカフェなどのグルメ情報、そして、特に昨今は移住情報でその内容は占められています。

けれども、私が以前にブログで書こうとしていたのは、軽井沢移住のノウハウでもなく、広く知られている明治期以降に開発された別荘地としての軽井沢についてでもなく、その基底をなす、今では語られることの少ない軽井沢という地の風土や歴史についてのブログでした。

江戸時代には中山道の宿駅として栄え、旅籠屋や茶屋が軒を並べ、数多くの飯盛女(遊女)がたむろし、街道を往来する人々をもてなし、送り出すことを常とした繁華で猥雑な地、軽井沢。

その頃に形成された風土や気風、土地としてのあり様こそが今の軽井沢の基礎を形成していること、そして、その寒冷で貧しい地には、宿駅を支え、懸命に暮らしてきた人々の生きる姿がありました。

それが、私が軽井沢に暮らすようになった当初、驚きをもって知った軽井沢という土地の特色であり、そこに営々と先祖代々の暮らしを営んできた地元の方々の姿に、人として暮らすことの厳しさや哀しさと同時に、逞しさや生命力を感じたからこそ、それをブログに表現しようと思っていました。

結局、その目論見はブログでは実現することは困難で、時に「都会 vs.地方」といった、巷によく見かける典型的な議論に収まってしまう感もありました。

そして、私にとって、軽井沢の風土や歴史と、そこに暮らす人々の姿を描く最良の方法は小説であると気づいたものでした。

それが、『浅間山ろく玄鳥記シリーズ1 闇夜の雪』です。

この小説は、軽井沢に移住した直後に既に萌芽を生じていました。今から、おそらくは7、8年前のことだったと思います。

その頃に、突如として書いた短編小説。それを2019年末から2020年にかけて大幅に手直しし、中編小説として完成させ、電子書籍にて出版させていただきました。

そこには、軽井沢という地に暮らしたことによって私が感じた驚きや感動、さらに、親身になってお世話してくださった地元の方々への感謝の気持ちが、自然、織り込まれています。そして、ブログではなく、小説という形によってこそ、いまだ不十分な部分はありながらも、私の心底感じた感覚を表現し得たと思っています。

その結果、軽井沢に関してはブログという形で自らの感覚や思いを表現することが、私にとっては不必要となってしまいました。

軽井沢での暮らしがもたらしたもの

『闇夜の雪』は、ただ小説を物語として楽しんでいただくことのみならず、軽井沢という地とそこに生きる地元の方々の姿を通し、私が感じた人として生きる姿のありようをお伝えしたいという思いもありました。

私自身が、軽井沢で暮らし、地元の方々とわずかながらも交流させていただことによって、人として生きることを考え直し、自分の生き方という点での立ち位置を相対的に確認し得た面があったからこそ、そう思ったのかもしれません。

その思いや考えを、書いてみようという気持ちが、この数ヶ月のうちに高まっていたのですが、実際、何をどう書くかという具体的なイメージが持てずにいました。

今も、そのイメージは、さほど具体化したわけではありませんが、少なくとも、軽井沢の地で地元の方々の暮らしを目にし、お世話になり、交流させていただいた過程で、期せずして私自身の生きてきた道筋を再確認することになったことは、一つのテーマになり得ると感じています。

それまでの私は、自分の生きてきた道筋や、考えてきたことなど、到底、ブログに書くことはできませんでした。おそらくは、そういったことを客観的に眺め、相対化するという習慣がなかったからかもしれません。

ところが、軽井沢に暮らすことによって、慣れ親しんだ首都圏を離れ、全くと言っても過言ではないほどに異なる文化に触れ、暮らしに接することで、当たり前だった首都圏の生活や、そこでの私自身の生き方を否応なく振り返ることになりました。それによって自分の生き方を客観視し、相対化することで、それを言語化することがある程度は可能になったように感じています。

今の時点でそう感じているだけで、どこまで言語化し、文章として綴ることができるのかは未知数です。

けれども、もしそれができるのであれば、私自身の思考や感覚によって積み重ねられた人生の時間が、今後の私自身の人生の歩みを助けることになるような予感があります。

そして、その結果として、今、どこかで人生の岐路に立ち、迷い、悩んでいる方や、不安を抱えている方、逆に安定した暮らしをしながらも、どこかに迷いや釈然としない思いのある方が、別の場所に向かって一歩を踏み出すために、あるいは、今いる場所での生き方を考えるために、ほんの僅かでも、ヒントや力になれれば嬉しいと思っています。

私自身は、もう一度人生をやり直すことがあったとしても、結局は同じ道を歩むのかもしれませんし、多分、そうなのだと思います。

でも、その私のたかだか46年の間、生きてきた中で考えたことや思いを綴ることで、読んでくださった方が、迷いや不安に向き合ったり、より自分らしい道を歩むことのお手伝いが少しでもできるのであれば、ブログを書く意味もあるのかもしれないと思うようになりました。

『浅間山ろく玄鳥記シリーズ』の今後の展開

さて、『浅間山ろく玄鳥記シリーズ1 闇夜の雪』は、現在、電子書籍のみでの発売となっています。そのため、電子書籍に馴染みのない方のお手元には届けることができていません。特に、小説の執筆にあたって、お世話になった方や、軽井沢での暮らしを物心の両面で支えて下さった方に届いていないことが、申し訳なく、非常に残念に思っています。

出版のご協力をいただける出版社様を探そうかと考えた時期もありましたが、最近、思い直したところです。軽井沢という特定の地域を舞台にした小説であり、軽井沢をご存知の内外の方々からありがたいことにご好評の声を頂戴することから、いずれ、クラウドファンディングを活用した出版も視野に入れるようになりました。

現在、シリーズ第2話は、第1稿の執筆を終え、これから大幅な手直しを予定しています。手直しに相当の時間を要することが、第1話の経験から予想されますが、いずれこのブログでも進捗のご報告をさせていただくかもしれません。

それでは、「餡住実茶ぶろぐ」をここに始めさせていただきたいと思います。改めまして、どうぞよろしくお願いいたします。

-お知らせ, ぶろぐ

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